旭川市議会は18日、市の火葬場「旭川聖苑」に指定管理者を導入する議案を否決しました。一般議案の否決は32年ぶりです。
日本共産党が議案第10号「旭川市火葬場条例の一部を改正する条例の制定について」に反対した理由は以下のとおり、小松あきら市議団長がおこなった反対意見を紹介します。
この条例改正案は、火葬場「聖苑」を現在の直営管理方式を改め、来年4月から指定管理者による管理へ移行するためのものです。その根拠となっているのが地方自治法の改正により03年9月に施行された指定管理者制度であります。言うまでもありませんが、指定管理者制度は、公的施設の管理を民間事業者・団体などを指定して行わせるという制度であります。
この制度のメリットとして一般的に言われていることは、第一に民間事業者のノウハウを活用することでサービスの向上を図るということであり、2点目として効率的運営で経費を節減できるということです。
市長は、今回の「聖苑」の管理を直営から指定管理者に移行することを契機として、現在火葬場を休業している「友引き」においても事業を行ったり、あるいは事前受付などの実施で火葬場での待ち時間を調整することなど、サービスの向上につなげたいとしています。
しかし、これらのサービスの向上は直営方式でも十分に対応できるものであり、指定管理者制度を導入しなければ実現できないというものではありません。
次に、2点目のメリットとしてあげられている経費の節減についてです。市長は指定管理者へ移行することで約600万円の経費節減を図ることができるとしています。その節減の根拠は、現在25の業種に分けて委託している事業と直営の管理部門、合わせて26の部門を一括して管理させることで節減が図れるという試算であります。これらの事業費は合計すると1億円を超しており、節減割合はわずか6%であります。総額1億円の事業費から600万円程度経費を節減することは、事業費の削減にたけている理事者の皆さん方が本気で取り組めば、直営方式のもとでも十分可能な額と思われます。
このように、指定管理制度導入によるメリット面の理由は説得力あるものとは思われません。一方、指定管理者制度導入によるデメリットは、はるかに重大なものと言わざるを得ません。
まず、指摘しなければならないことは、現在、異なる事業を25に分類してそれぞれの業者に委託しているものをすべて1本化し、これに直営の管理部門をさらに加えた26部門を1業者に委ねるという点です。
一括して管理させようとする合計26の事業は、火葬炉の管理から庭園の管理に至るまで多種多様であります。現行の直営方式では、市としてそれぞれの事業内容に適した業者を競争入札や随意契約などの方法のもとで発注しています。
これが指定管理者に移行すれば、指定管理者に選定された業者の裁量で、26部門をいくつに区切るかについては自由となります。また、委託料についても基本的には自由裁量となります。
この結果、地元業者が今までのように受注することができなくなったり、あるいは受注できたとしても単価が著しく安くなったりするという可能性があります。地域経済にとっても、現在雇用されている人にとっても重大な影響を及ぼす事態を招きかねません。
これらについて質疑を行いましたが、想定されるデメリット面について、市長が十分に検討したうえで提案しているとは思えません。
また、20年度において委託した25事業のうち、7事業、63,702,240円(63.25%)については、競争入札もできない、見積もり合わせもできない状況の中で、1者を特定しての契約となっております。受注している業者の他に適当な業者が見当たらないという旭川市としての判断からこうした事態となっているのです。
今度は、これらにさらに18の異なる事業を加えますから、ますますハードルが高くなり複数からの応募は難しいものとなるのではありませんか。結果として特定の業者に1億円もの事業を管理させるというところに行政が誘導してしまう事にもなりかねません。
さらに、これまで指摘した内容をかかえながら、直営方式の1年契約から指定管理者導入で5年間の長期契約となることも重大です。
こうしたことを考えると、まったく未成熟な提案と言わざるを得ません。
以上述べたように、提案されている聖苑の管理指定管理者制度導入には、メリットの点では説得力を持ち合わせず、デメリットの面では看過できないほどの重大性があります。
よって、日本共産党としては、こうした状況の下での指定管理者制度の導入には反対せざるを得ないということを述べて反対意見と致します。
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