2004年12月18日土曜日

<b>「市長を辞めさせる運動を」の声相次ぐ</b>

旭川市議会の百条調査結果報告会

 菅原旭川市長と杉浦剛太郎氏に関わる7つの疑惑を調査した旭川市議会の百条調査結果についての市民への報告会が2004年12月17日に開かれ、250人が参加しました。
 報告会では、各会派代表から7つの疑惑について調査経過と結果を説明、市長を刑事告発した理由が報告されました。


 報告会は、旭川市議会の公正クラブ、公明党、日本共産党、社民クラブ、無所属の五者が呼びかけ、過半数を超える20人の議員が参加しました。
日本共産党の佐々木卓也市議団長は、「一連の事件の本質は、菅原市長と杉浦剛太郎氏の利権への強い執着心に裏打ちされた人間関係にあり」、「菅原市長、杉浦氏、松浦元市議の蜜月の時代からお互いが裁判で争う局面に変わり、これが七つの分野で噴出した」と解説しました。
 報告後、市民から「辞職勧告されて市長は辞めない、今後、どうするのか」「再びリコール署名運動をすべきでないか」などの声が相次ぎました。

2004年12月1日水曜日

<b>百条調査の報告(概要版)</b>

 サンライズ問題、高齢者向け住宅、市長の借金問題など 
百条調査の報告(概要版)
日本共産党旭川市議団 幹事長 能登谷 繁

 旭川市は学校法人サンライズ学園所有のビルを借り上げ,農政部など一部部署の庁舎として使うため移転を計画していました。しかし,この法人が北海道からビルの賃貸差し止め指導を受けたことが明らかになり,03年4月の臨時議会で日本共産党の追及を受け、計画が白紙撤回されました。
 その後の第2回定例会で,菅原市長とビル所有者で市長の後援者である杉浦剛太郎夫妻との間にさまざまな疑惑が浮上し、地方自治法第100条の権限の委任を受けて「庁舎移転問題など不透明な事務の解明に関する調査特別委員会」が設置されました。百条委員会の設置は旭川市議会史上はじめてのことになりました。
 第1回の委員会を03年7月2日に開催し、04年11月19日最終委員会まで37回開催され、代表者会議が73回開催されました。
 委員会で明らかになった内容は報告書に詳述されていますが、その概要を紹介します。


告   発 
��、杉浦剛太郎氏が証人出頭を拒否したこと及び記録 提出を拒否したことについて,それぞれ正当な理由が ないものとして告発すべきであることを決定。
��、杉浦みち代氏が証人として虚偽の陳述をしたものと して告発を決定。
��、菅原功一氏が証人として虚偽の陳述及び正当な理 由がなく証言を拒否したものとして告発を決定。
��、小池語朗氏が証人として虚偽の陳述をしたものとし て告発すべきであることを決定。
取りまとめ
 調査報告書の取りまとめについては,各会派等の意見の一致を見るに至らず,委員会では起立採決の結果,委員長を除く19人中、賛成11人、反対6人、欠席2人で決定しました。12月1日の本会議では、議長を除く35人中、賛成は公正クラブ、公明党、日本共産党、社民クラブ、無所属高原・金谷・久保の19人で議決しました。尚、反対は新政会、民主クラブ、市民クラブの14人、棄権は園田、山城の2人でした。
市長と業者が沖縄旅行

 沖縄旅行問題については,バイオ事業により本市への企業進出・誘致を計画していた杉浦剛太郎夫妻とネスコ薬品関係者が,平成10年5月に沖縄旅行をした際,菅原市長家族が同行していたことから,菅原市長がこれら一連の計画にかかわっていたのではないかと疑われました。
 杉浦夫妻とネスコ薬品の木佐木收(オサム)氏が平成9年秋を前にして企業誘致等で打ち合わせを行っていること,平成10年1月12日にトーヨーホテルにおいて菅原市長と杉浦剛太郎氏が公費で会食をした際,沖縄旅行について話題にならなかったことは不自然であること,また,菅原市長が旅行先のホテルで木佐木氏に会った印象を「業者という認識を持っていた」旨の証言をしていることなどからしても,菅原市長は早い時期から企業誘致等について承知し,関与していたことは想像にかたくないものです。
 また,旅行代金を菅原市長が実際に支払った否かについては,杉浦夫人に自宅に来てもらって支払ったということ自体,異常であり,旅行から帰旭した翌日に当時の旭川商工信用組合新旭川支店,菅原功一名義の口座に100万円が入金されたことに関しての確たる説明もなく,疑惑は消えませんでした。
ネスコ薬品の企業誘致と常磐公園千鳥ヶ池浄化 

 ネスコ薬品の企業誘致と常磐公園千鳥ヶ池浄化の問題については,バイオを利用した下水汚泥処理事業などにより,本市への企業進出・誘致を計画した杉浦剛太郎,松浦守,木佐木收,石川暉泰の4氏が,常磐公園千鳥ヶ池浄化の事業発注を市に求めたこと及び「旭川ネスコ」の企業誘致に関して,菅原市長が関与し,担当部局に不当に圧力をかけたのではないかとの疑惑が浮上しました。
 平成10年6月18日に菅原市長,大阪大学の藤田正憲教授,ネスコ薬品関係者,市職員が,常磐公園千鳥ヶ池の視察を行ったことは,池の浄化事業に信憑性を持たせるため,水の権威である藤田教授に来旭を要請し,当時の秘書課長がその日程設定を行うなど秘書課主導で進められていることから,藤田教授ほか一行の来旭は,菅原市長の方針そのものであることに疑問をはさむ余地はないものです。
 また,当時,土木部は北海道開発局の協力を得ながら,池の浄化事業を順調に進めていたにもかかわらず,ネスコ薬品の営業活動とも言える会議が秘書課応接室で開催され,市長が同席していることなどは異常であり,さらに,後任の秘書課長にも,その後の企業誘致の経過を商工部に聞きに行かせているなど,菅原市長は,最初から千鳥ヶ池浄化と企業誘致計画を承知の上でかかわりを持っていたことが,明らかになりました。
 なお,結果として,千鳥ヶ池浄化の発注,企業誘致には至らなかったわけですが,これは所管している部が理不尽な市長グループの要求を阻止したと言えるものです。
アイエスティサービスへの清掃業務委託

 杉浦夫妻が経営する清掃会社、アイエスティサービスの指名業者登録が適正だったのかどうかが問題になりました。
 アイエスティサービスは,平成11・12年度の指名業者登録申請において,営業年数2年の資格要件を満たしていないにもかかわらず,営業年数を偽り,また,平成13・14年度の申請においては営業年数,平成15・16年度の申請においても営業年数と従業員数を偽っていたことが明らかになったところであります。
 このような虚偽申請に対し,市は平成11年度以降,平成15年度までに4千万円を超える清掃業務委託を行い,アイエスティサービスに不当な利得を供与したものであり,菅原市長には,そのことを阻止しなかった重大な過失があると認められるものです。
聖徳山上宮寺の高優賃 

 聖徳山上宮寺での高齢者向け優良賃貸住宅問題について,老朽化した寺を高齢者用マンションに建て替える杉浦剛太郎氏の計画にかかわり,菅原市長が当時の上川支庁副支庁長に対し,事業推進のため「口きき」をしたのではないかとの疑惑について調査を行いました。
 杉浦氏は,頼みの綱としていた松浦守氏が平成11年の市議選で落選したことや,上宮寺の高齢者向け優良賃貸住宅計画の企画・設計監理契約を結んだ日本長寿開発センターに渡した4千万円の手形を落とせなかったこと,また,同計画の設計・工事管理業務委託契約を結んだアクタス設計に対し,手付金3百万円以外を支払わず訴えられることになったこと,常磐公園沿いの分譲マンション建設計画にかかわり,コタニ工業から借りた協力金2千5百万円を返せず訴えられることになること,さらには,上宮寺住職だった堀切尚道氏が杉浦氏から離反したことから,事業を予定どおり進めるため,上宮寺規則変更にかかわる宗派本山の承認書と印鑑を偽造したことなど,極めて深刻な窮地に陥ることとなり,菅原市長は,こうした杉浦氏の窮状をくみ取って,当時の浴山上川支庁副支庁長に電話をしたと判断するものです。
 菅原市長と浴山副支庁長との間には,電話での話の内容に食い違いがありますが,浴山副支庁長は電話内容を記録した公文書のメモを残していたことから,「私の友人が高齢者向け優良賃貸住宅の建設を計画している。上川支庁の担当課の方で事務が停滞しているようなので急ぐようお願いできないか」との菅原市長からの電話内容には信憑性があると判断できます。
 したがって,菅原市長の電話は,杉浦氏が上宮寺の高齢者向け優良賃貸住宅計画で建設費補助を得られるようにすることを目的とする口ききであり,市に建設後の家賃補助の責務を生じさせる不法行為であると結論づけました。
9条通7丁目の高優賃

 9条通7丁目の高齢者向け優良賃貸住宅問題について,杉浦氏が同氏の経営する学校法人瀬住学園が所在する9条通7丁目の土地に,高齢者向け優良賃貸住宅を建設する計画を立て,市が平成14年度予算に建設費補助を計上しましたが,自己資金不足のため計画が頓挫しました。この問題で菅原市長に事前相談があり,特に便宜を図ったのではないかとの疑惑が浮上しました。
 高齢者向け優良賃貸住宅事業については,平成13年度から市の事業となり,同年度に予算を計上したわけですが,その予算が決まる前の平成13年2月26日,当時の小池企画部審議員が,担当でもないのに初めて面識を持った杉浦夫妻に対応し,建築指導課の課長と係長を秘書課応接室に呼び寄せ,高齢者向け優良賃貸住宅事業の説明をさせていることは,極めて不自然であり,菅原市長の介在なしにはあり得ないものです。
 また,杉浦氏から担当はどこかと聞かれ,菅原市長自身が「あれ,まだやるのかいと,こんな感じで聞いておりまして,福祉か建築でないですか」と証言しているように,菅原市長が杉浦氏から事前相談を受けていたことは,明らかです。
 さらに,市は平成13年5月の北海道に対する国庫補助要望の段階で,杉浦氏の計画どおり高齢者向け優良賃貸住宅の戸数を45戸としていること,高齢者住宅として十分な配慮がない計画であるにもかかわらず,優位の計画として事業選定していることなどを考えると,先に杉浦氏の高齢者向け優良賃貸住宅計画ありきと判断せざるを得ないものであり,杉浦氏に対する便宜供与以外の何ものでもないと結論づけました。
サンライズビル問題

 庁舎移転問題について,杉浦夫妻が理事長を務める学校法人が所有するサンライズビルを, 市が庁舎として借り上げ,一部部署の移転を計画したことにかかわり,事前に杉浦氏から相談を受けた菅原市長の指示で,当時,まだ所有者となっていなかった同夫妻と賃貸交渉を進めるなどの不透明な事務処理を行ったのではないか,また,杉浦氏から融資の相談を受けていた金融機関に対し,市が借り上げの内諾を与え,ビル購入を容易にさせたのではないかとの疑惑について,調査を行いました。
 当初,所有者でない杉浦夫妻と賃貸交渉を行ってきたことについては,小池前総務部長と渡辺管理課長の所有者に対する認識が違っていたことが明らかになり,小池前総務部長は,杉浦氏がまだ所有者でないことを知っていながら,あえて管理課長に伝えず意図的に学校側と交渉させるなど,所管部署が作成した「契約事務の手引き」を熟知しながら,その履行をしなかったものです。こうした小池前総務部長の内部規定に違反した不透明な事務執行は,市,議会,そして市民の信頼を裏切る背任行為であったと言わざるを得ないものです。
 また,商工組合中央金庫から提出された記録によると,平成14年7月22日に商工中金職員2名が来庁した際,賃料の条件面だけ整えば交渉が成立することを示唆し,さらに,具体的に入居時期にも言及するなど,市がサンライズビルの賃借を非常に前向きに考えていたことが明白になっております。これらのやりとりの中で,商工中金が「市の入居意思あり」と判断したことは当然と言えるものであり,市が内諾を与えたに等しいと判断するものです。
 結局,サンライズビルの借り上げは,北海道学事課から目的外使用の指摘がされたことにより,白紙撤回されたわけですが,当該ビルの賃貸契約が可能かどうか,所管の北海道学事課に事前の確認を怠った市の事務手続には,大きな過失があったと言わざるを得ず,また,借り上げを意思決定する起案においても,杉浦氏が積算した根拠のないものをもとに諸経費の比較を行ったり,その比較金額自体にも誤りがあるなど,重大な事務手続上の不備があったことを指摘せざるを得ません。
 これら不適切な事務執行が進められたことは,事前に杉浦氏と菅原市長との接触があったからと考えられるものですが,先にサンライズビルありきの前提で事務を進めた総務部の責任は極めて重く,また,最高執行責任者である菅原市長の責任も問われるものです。
 
菅原市長の借金問題

 菅原市長の借金問題について,これら一連の不祥事と菅原市長とのかかわりの中で,松浦ミヨ子氏から3千万円を借りた杉浦剛太郎氏の連帯保証人となった菅原市長が,貸し金3千万円を返せと裁判に訴えられたことについて,調査を行いました。
 菅原市長は,平成15年第3回定例会の一般質問及び総括質疑において,杉浦氏が松浦氏に2千5百万円を振り込み,さらに5百万円を学校で渡して事件は解決した旨の答弁を行っています。しかし,菅原市長から提出された裁判記録には,市長が訴えられた借入金に対する返済として,2千5百万円を支払ったとする記録も,残り5百万円を支払った現場にいた女子事務員が裁判所で証言したという記録もなく,逆に残り5百万円の支払いを拒絶すると主張されています。また,杉浦氏から提出された裁判記録では,この2千5百万円は,セブンパークホテル購入の手付金とされていることが明らかになり,3千万円の借入金は返済されていないと判断するものです。
 またこの借金は、実際には市長本人が3,000万円借りたのではないか、支払われていないのに何故和解できたのか、和解の直後に起きた神楽三条通線の移転補償など、奇怪な問題を抱えていただけに、証言を拒否し説明責任を放棄した市長の責任は重いと言わざるを得ません。
百条調査のまとめ

�� まず,7つの課題に共通しているのは、菅原功一市長と杉浦剛太郎氏の二人の不誠実な対応です。菅原市長は証人尋問で「記憶にございません」を連発し,市長権限で内部調査が可能であったにもかかわらず,それを怠って説明責任を回避し続けました。杉浦剛太郎氏についても証人出頭と記録提出を拒み,非協力的もしくは挑戦的態度に終始しました。このことによって,真相解明ないし事実確認に手間取る場面が多々ありました。
�� 当事者二人の意図的真相隠し,あるいは調査妨害により,当然ながら両氏の周辺に調査対象を広げざるを得ず,当委員会の調査の長期化をもたらすことになりました。市長擁護の立場から流された“議会の税金無駄遣い”批判も実は,公人としての菅原市長の,また,社会人ないし旭川市民としての杉浦剛太郎氏の責任放棄に帰すべきものです。
�� 1年半に及ぶ調査で強く感じたことは,公平,公正で旭川市民の事務局としての任務を負うべきはずの「市役所」が,利権あさりの舞台として利用されたことで,その罪は厳しく弾劾されなければなりません。
�� 一連の事件に共通していることは,菅原市長と杉浦剛太郎氏の利権への強い執着心に裏打ちされた人間関係があり,ここに事件の本質があります。
  また,調査で明らかとなったように,菅原市長はプライベートな会食に公費を充てたり,業者に平気でごちそうになるなど,著しくけじめに欠けています。「公費支出は秘書課の判断」と部下に責任転嫁する姿勢も見え,公人としてふさわしい倫理観や資質を兼ね備えていないことが,改めて浮き彫りになりました。
  杉浦剛太郎氏は,菅原市長の政治的地位や権限の重さ,影響力を存分に利用し,また,菅原市長は利用されることを黙認,合意の上の行動であることが特徴的です。
�� また、百条委員会の調査中に,菅原市政と杉浦剛太郎氏,松浦守氏とのかかわりにおいて,神楽3条通拡幅工事で奇怪な移転補償費の支出が明らかになり,これと菅原市長,杉浦剛太郎氏,松浦守氏の金銭貸借との関連が指摘されたことは重大なことです。
今後、別な場面での真相解明をすすめなければなりません。